新潟県上越市の格安タイヤショップセカンドオプション<2nd option>

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(コラム)知識がなくネットで買って失敗した人の話

今年は繁忙期のお知らせを書かないまま雪が降る直前になってしまいました。
その代わりと言ってはなんですが、今日あった教訓話めいたエピソードを紹介します。

はじめに

中古タイヤを扱っていると、本当にいろいろな人が来店する。

うちで買ってくれない人のことをお客様と呼ぶことにためらいはあるが、世間への教訓になる事例なので紹介してみたい。

その人がもしこれを読んで「自分のことを悪く書かれた」を気を悪くしたとしても失敗した事実は事実である。失敗は次に生かすためにあるのだ。今回の失敗を学びとしていただきたい。

今日はそんなお話。

ウイングロードに乗り換えた

何度もうちを利用しているお客さんがいる。

といっても、新品のタイヤを買ってくれたことは自身の車では一度もなく、ほとんどが毎回パンクしたため中古タイヤを用立てるという内容の人だ。
なにしろ10日の間に3回パンクしたこともある強者だ。

さてその方から12月1日に電話がかかってきた。

それまで乗っていたトヨタプリウスから日産ウイングロードに乗り換えたので中古のタイヤとホイールが欲しいというのである。
この2車種、タイヤサイズが185/65R15で同じなのだが、タイヤは間に合わせ程度のものだがかろうじて在庫があった。
タイヤだけで組替工賃、税込で12800円を提示。

ただ、ウイングロードは問題があり、ホイールがなかなかないのだ。
それについて解説してみるが、次の項は興味がある人以外は読み飛ばしていただいて構わない。

中古ホイール探しは難しい

ホイールサイズには、いくつかの数値があり、それらをクリアしないと車に適切に取り付けできない。

直径…ホイールそのものの大きさ、単位インチ
リム幅…ホイールの幅、単位インチ、数値の後ろにタイヤと接する部分の形状がアルファベットで表記される
オフセット…リム幅の中心線と車体取付面との距離、2008年以降インセットと呼ぶが当店では以前のままオフセットとしている
PCD…ピッチ、ホイールボルト穴の間隔。ホイール穴を円で結んだ直径
穴数…車体に取り付けるホイールボルトの穴の数
ハブ径…ホイール中心の穴の大きさ
※上記に加えて、外車の場合ホイールボルト穴の径が国産車と異なる場合がある

たとえばウイングロードはY11という型式(かたしき)の世代の場合、PCDが114.3ミリ、4穴(けつ)となっている。
この114.3ミリの4穴というホイールがなかなかないのだ。

お客さんの車がY11型だった場合、前述したように
純正サイズは 15×5.5JJ オフセット+40 PCD114.3ミリ 4穴
ということで普段からほとんど在庫がない 。

もし後継のY12型だった場合、
純正サイズは 15×5.5JJ オフセット+40 PCD100ミリ 4穴
PCDが同クラスのコンパクトカーのほどんどが採用している100ミリに変わり、こちらのほうがまだ見つかりやすいのだが、いかんせんうちに在庫がない。

Y11とかY12の型式は車の世代を表す。
同じ名前の車でも世代でタイヤだけでなくホイールサイズが異なる場合も多い。

しかも上記すべての数値が合っているにもかかわらず、形状のせいでブレーキキャリパーと干渉し取り付けられなかったことも何度も何度もあった。
これが「中古ホイールを探している人は現車合わせが必要」と言っている意味なのである。

新品なら何も困らないのだが、中古でしかも安くしようとすると本当にホイール探しというのは難しい。

「ネットならセットで2万円」

話しを戻す。

タイヤについては12800円できる在庫があったものの、どの型式にしても15インチでウイングロードに履けるホイールの在庫がなかった。

するとお客さんは「ネットで2万円でタイヤ・ホイールセットがあったんだよな」と言った。

最近ではお客さんから「ネットでいくらであったよ」と言われることは多い。以前から書いているように、そりゃネットのほうが安いのだ。
対面販売、接客を省略することで安く販売するのがネットなのだから。

正直店舗で「ネットだといくらだった」と言うのは私個人としては大変失礼な話しだと思うのだ。これは想像力があれば誰でもわかるはずの話だ。

だから当店では「それでしたらそちらで買えばいいですよ」と言う。
その12月1日はそのような内容で終わった。

たった5分程度の電話の間にも、我々の頭の中にはタイヤ、ホイールの適合に関する大量の情報がかけめぐっていることだけここではご理解いただきたい。

知識もなくネットで買えばケガをする

そして今日、12月13日土曜日。
組替作業中にその方がウイングロードで来店した。

「ガタガタ音がする」ということだった。

話しを聞けば、その後中古のスタッドレス、ホイールセットをネットで買ったとのことだった。

なんと、スズキのホイールキャップをはめているじゃないか。

スタッフの大ちゃんが作業をしながら叫んだ。
「今井さん、キャップ外してみな! それ、多分スイフトのだ!」

そう、スズキ純正の鉄ホイールだったのである。

何が問題なのか説明しよう。

さきほど長々と書いたホイールの各種数値の最後に「ハブ径」と呼ばれるものがある。

ホイール中心の穴の大きさ(単位ミリ)だが、実はこれ、自動車メーカーごとに数値が異なっており、純正ホイールの場合ピッタリその数値に設定されている。
1ミリ違えば、本当に車体にはめることができない。
だから、メーカーごとに行き来できるホイールとできないホイールがあるのだ。

スズキは54ミリ、
日産は60ミリ
(古いものは66ミリもある)。

つまり、ホイール真ん中の穴が54ミリしかないホイールを60ミリの車体につけようとしたら、穴が小さくてホイールが車体にピッタリはまらなかった、というオチなのだ。

それをナットで無理やり締め付けているだけだから、ガタガタするのは当然だ。高速を走ろうものならそのうちナットが緩んでホイールが外れるかもしれない。
聞けばネットで4000円、送料を入れて7000円のものだったらしい。

さらに唖然としたのは、ついていたタイヤが、グッドイヤーの2005年製のタイヤだったということだ。しかもウイングロードのサイズとは違っていた。
スイフトに履かせていたとしたら、そりゃ違うだろう。

おそらく売る側はホイールだけ売りたかったが、タイヤとホイールをバラせないため組まれたままネットに出したものだろう。

4本で2万円のタイヤって言ってたのにさらに安いものを買ってしかも適合しないとか…安物買いの銭失いにもほどがある。

さて、ここが重要なのだが、ネットで自分の判断で買ったものについてはうちは何の責任も取れないし、アドバイスのしようがない

わかっている人が適切に買えばネットは有用だろう、自己責任という言葉は使いたくないが、ロクな知識もなく安いからという理由だけで買って失敗する人が後を絶たない。

はっきりと「我々プロは知識と経験を売っているんです」と言った。

なぜ店舗がネットより高いのか、それは知識と経験に対する対価なのだ。当たり前の話なのだが、ネットが普及しそのことを忘れてしまった人が多すぎる。

にっちもさっちもいかず、「ホイールないかね」と今日も言われたが、ないものはないのだ。

まだ10月くらいに言ってくれれば探しようもあったかもしれないが、12月の、ましてや雪が降る直前ではもう「時間切れ」なのだ。

帰るに帰れなくなったのか「この溝まだ使えるかね」と聞いてきた。
普段なら溝を見るのは無料で見ているが、今日ばかりは、「それをわかって買ったんじゃないんですか、それをこちらに判断させるならお金をいただきますよ」と断った。

「うちではもうできることはないし、今も作業中ですので今日はお引取りください」

冷たいようだがそう言って帰ってもらった。
見捨てるようだが、懲りてもらうしかない。

量販店でお金さえ払えばいくらでも新品セットを用意してもらえることだろう。

おわりに

ここ数日、天気予報に雪のマークがつくと急に「スタッドレスタイヤもホイールも何も持ってない」という人からの問い合わせが続く。

夏の間は何をしていたのか、秋になればあちこちで「冬タイヤの準備はお早めに」という声を聞くだろう。

雪が降る間際の問い合わせは「中古で安く済ませたい」とか「長く上越にいないから間に合わせで済ませたい」という内容が多いのだが、中古の在庫こそこの時期はなくなるのだ。

例年早い人は8月くらいからスタッドレスを探しだす人がいるが、今年は早く、早い人は4月、6月くらいにはもう数件成約してくれていた。

お金をかけたくない人に限って高い買い物をするハメになるという皮肉は、当店としても見たいものではない。
来年は今以上に早めの準備を呼びかけていこうと思う。

いよいよ雪が降る。

みなさんも、車を乗り換える場合は、夏であっても乗り換えたらすぐスタッドレスタイヤ、というよりむしろホイール探しの準備を始めるくらいでちょうどいいと思っていただけると幸いである。
(おわり)